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6/30/2023 11:30:00

Case114.医学とは多様性を認める学問

eyecatch
学生生活

医学部6年間で、さらにその先の臨床現場で学ぶ医学とは「多様性を認める学問」と見ることができる。ヒトという括りの中である程度の規則性はありつつも、最終的にはその人の背景や多様性を尊重しつつ個別具体的に対応するのが医学で、そこにはいわゆる理系的な思考のアルゴリズムだけでなく、文系的な考えの幅も必要である。

医学部に入学する際は理系であり、医師国家試験までは○×式の100点満点の「試験」を課されることも多いが、臨床研修以降はそれこそ高校数学や理科で学んだ「解の公式」や「運動方程式」のように100点満点で唯一無二の答えがあるようなケースよりも、点数の幅や採点幅の広い玉虫色のケースを扱うことが多くなる。医学的に100点満点を目指すことが必ずしも正解ではないケースを経験する中で、各論的かつ相対的に高得点を目指す必要がある。個人的には、この多様性を学ぶことが臨床医学の最終目標の一つだと考えている。

このような多様性を認める医学というものを目指すのであれば、なるべく早いうちから多様性に触れ、多様性を認める文化を育んでほしい。現在医学生の人、医学部を目指して勉強している人には「自分の考えている世界観」「自分というバイアスの入った価値観」に囚われず、「こんな人や考え方があるのか」と思うような経験を重ねてほしい。特に若いうちは多少の失敗をしても許されるような立場にいるため、新しいことに次々とチャレンジして新たな価値観や多様性を経験してほしい。そういったことが、結果的に医師として活躍する際に「医師としての深み」にもつながり、患者さんに最適と思われる選択肢を複数イメージできることにも通じてくる。

医学とは多様性を認める学問。背景や病態も決して単一ではないヒトを扱う医学を目指す人には、是非この考え方を持っていてほしい。

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