学力を高めるには大きく二通りある。一つは学力を“安定”させること、他方は学力を“進化”させることである。実際にはこれら二つが互いに独立して学力が高まると言うよりは、相補的に作用する場合が多いが、こういった二通りの概念があることを理解しておくことは重要だ。
1 つ目の学力の安定だが、わかりやすいイメージ例として、ケアレスミスが減った、以前理解した問題の類題がミスなく解けたというような横方向への成長である。この横方向への成長は、現状の成績の安定感をもたらし、つまり自身の偏差値が 60 ならば、安定して 60 程度のパフォーマンスを発揮するのに役立つ。
他方の学力の進化だが、こちらは例えば今まで理解できなかった問題が理解できた、未履修の範囲を履修し新たな概念を得たというような縦方向への成長である。この縦方向の成長は、成績の次元的な高まりを可能にする。つまり、現状で自身の偏差値が 60 ならば、65 へのチャレンジ権を得るといった具合である。
日常学習ではこの学力の安定と進化は同時に対策を立てていかないといけないわけだが、学力の安定に関して言えば自宅での学習量を増やし徹底的に復習することがより重要であり、他方の学力の進化は学校や塾の授業で新たな内容を教わり新たな知識を身につけることが大切である。
ここで重要なのは、現状の自分ではどちらをより優先的に着手すべきなのかという判断を行い、その上で実際の学習に反映することである。そこには、目標とする学力や偏差値、本番の試験問題の傾向などの分析を行い、今の立ち位置と見比べて今優先的に取り組むのは学力の安定か、進化か、それを正しく判断しなくてはならない。この判断を誤ると、思ったような学習成果が出ない、目標に到達しないといった状況に遭遇することになる。
実際には、こういった判断はプレイヤーである自分よりも、実際にその道を経験してきた第三者にコンサルティングをしてもらい、都度軌道修正することが最善だろう。なぜならば、一度その道を経験し突破したことがある人であれば、ゴールまでのルートを逆算し、その人にあった形で提案してくれる可能性が高いからだ。
試験までの限られた時間の中で戦略的にどう学習を進めていくか。学力の安定と進化を目指し、受験前半戦の今だからこそ、正しい戦略と戦術を組み立てて、今後の学習サイクルを確立しよう。