受験勉強を本格的に始めたら、あるいは本格的に始める前から、英数の早期攻略は最重要である。総じて理系であれば英数理、文系であれば英数国の配点比が高くなるわけだが、ゆえに文理問わず英数は基幹科目として重要である。この英数という二本柱をどれだけ早期に武器科目にできるか、それが合否に直結すると言っても過言ではない。
英数を一つずつ考えていこう。まず最近の英語は10年前20年前と比較すると「スピード重視」の受験英語になっている。平たく言えば、“比較的読みやすい英文レベルだが分量が多い”ということである。共通テストはその典型で、単語・熟語レベルは決して高くないがとにかく分量が多くスピード感をもって読み進めなければ時間切れになってしまう。では速読のみが大事で精読(≒英文法)は必要ないのかというと、全くそういうことはなく、むしろ医学部・難関大レベルでは精読で合否が決まると言える。医学部・難関大受験者レベルで平易な文章を読み解けないことはなく、実際にこれらレベルの受験校の二次試験では“きちんと文構造を取れていますか?”ということを問うような下線部訳や穴埋め問題が依然として出題されている。単純に単語や熟語だけをつなぎ合わせて読めるような問題ではなく、正しい英文構造を理解するための英文法力を持っていますか?と問うているのである。そして実際にそのような医学部・難関大レベルの問題で真に英語ができる学生とできない学生の間に点差がついている。「精読の上に速読が成り立っている」という当たり前の事実を知らずに速読のみにフォーカスしてしまうと、ある一定レベルを超えた問題に手も足も出なくなり、特に医学部・難関大を志望校に据えている受験生は大変危うい状況に陥ってしまう。
次に数学はというと、英語が易しくなった分、数学でより点差がつくような問題構成になっている。つまり、比較的平易で点数を取りやすくなった英語では有意な点差がつきにくく、しかしながら合否判定をつけるためには点差を生まなくてはならないから、数学でその点差が生じやすいように大学側も作題している。難しすぎると、あるいは非典型的な問題ばかりだと、受験生の学力を正確に測ることができないが、典型的すぎると点差がつかなくなってしまうため、典型的だが非典型的な要素を組み合わせた出題が主流になっている。共通テストにもこの傾向は現れており、ぱっと見では初見の問題に見えるが実際にはいつも見ている・今まで解いたことのあるいつもの問題に帰着するような仕掛けを施している。また、数学も分量はやや増加傾向で、そこに内容的な難しさも加わっているため、最近の医学部・難関大の合否は数学力にある程度左右されつつある。特に二次試験では満点を狙うというのはほぼ不可能である前提で、表面的には見慣れない問題でも、「結局、いつもの放物線と円の問題だよね」というようにいかに早く帰着できるか、その上で戦略的にどの問題をどこまで解いてどこから捨てるのか、この取捨選択に関わるスピード感と目を養うことが大切である。
以上のように、英数の最近のトレンドを踏まえつつ文理問わず必要な英数を受験本番で武器科目にするために、早期から苦手意識の克服、さらに得意科目へのステップアップを目指して学習を進めよう。特に高1-2生のなるべく早い段階から取り組むかどうかで受験期の学力の伸びは桁違いに違う。この意識で日々の学習に取り組もう。