一年というのは早いもので、今年の受験もまもなく最終局面に入ろうとしている。共通テストで思ったような点数を取れた人・取れなかった人、紆余曲折し最終的な志望校を決定した人など、それぞれの受験生にそれぞれの受験ストーリーがあったのは間違いない。この最終局面が一番大事であることは当たり前だが、共通テストで思ったように点数が取れた人は「勝って兜の緒を締めよ」という気持ちで、思ったように取れなかった人はまさに「背水の陣」で本番に挑んでほしいと思う。
直前期の学習は、いつもの学習の2倍も3倍も学習効果がある。春から秋、冬まで地道にコツコツやってきた学習を総合的に高い次元まで完成させる時期であり、これまでの基礎・基本をベースとする各分野単独の問題から各大学の特徴に合わせて総合的・融合的問題を合格ライン上のレベルまで解けるように仕上げていく最終の時期である。
また合格に必要な戦術として、総合点で受かるために「時間内にこれは解き切る、これはここまで解けばよい」というように、本番を意識して選球眼を再確認する時期でもある。満点を取ることが合格への必須条件ではないので、合格ラインを予想した問題の取捨選択+自分の取れる問題はしっかり取るという組み合わせを試験時間内に行う必要がある。「この和訳は正解しないと差がつけられるな」「この数学は(2)まで完答しないとまずいな」「自分はこの構造式の決定で優位に立てるな」など、試験時間中に問題を解きつつ合格へのルートを確認することが重要である。
学力的なピークを本番に持っていくのと同様に重要なのが、メンタル的なピークも試験本番に合わせることである。共通テスト直前でも、落ち着かない感じや焦燥感といった心情になったと思うが、二次試験でも程度の差はあれ同様のメンタル状態になる。どんな人間でも必ず「焦り」は出てくるので、「焦るな」と言うつもりはない。ただ、「焦りすぎて今やるべきことを見失わないで」と伝えたい。緊張や焦りは人間の爆発的な能力を引き出すためのトリガーだったりするので、そういった気持ちを負→正に変え、「大丈夫、しっかりやり切れば答えは自ずとついてくる」という前向きのベクトルを心に持つよう努力すれば不思議と結果もついてくる。
今年一年間を本気でコツコツ取り組んできた人は、この最終局面で一気にラストスパートをかけ、前方にいる全国のライバルたちをごぼう抜きにし、同時に後方にいるライバルたちを大きく引き離そう。一年間必死にやってこれた人たちはそれだけのポテンシャルを十分に持っている人たちだから、このまま走り抜けて最後の最後に満開の桜を咲かせよう。みんななら絶対大丈夫。