自分の強みや弱み、目標を明確化するためにも自己分析は重要である。これは受験勉強に限った話ではなく、たとえば就職活動やライフプランを描く際にも出てくる話である。つまり「自分はどんな人間か」ということを内省しようとすると自己分析を行う必要が出てくるのだ。
まず「分析」という言葉の定義を確認してみよう。
複雑な事柄を一つ一つの要素や成分に分け、その構成などを明らかにすること。
哲学で、複雑な現象・概念などを、それを構成している要素に分けて解明すること。
辞書的な意味としては上記のようになる。分析を行う上では可能な限り各要素を細かく分解した状態、数学的には素因数分解された状態である方が解像度の高い分析を行えるのは言うまでもない。
自己分析の難しいところは常に自己バイアスが働いてしまうことである。つまり、分析であるにも関わらず、こうあってほしいという理想や希望、その他ノイズが介在してしまうのだ。主観的な自己分析になった結果、自分が思っている自己分析の結果と客観的な自己分析の結果に大きな乖離が生まれてしまうことが多々ある。そうなるとせっかくの自己分析も分析としての精度がガクンと落ち見当違いな分析になってしまう。
ではこのような傾向のある自己分析に客観性を持たせるにはどのような工夫ができるのか。一つの対策として、定期的に他己分析をしてもらうのである。良くも悪くもあなた以外の人はあなたを外からしか見ることはできないので、あなたの発言や態度、行動からあなたを評価してくれる。そのため、ときに主観的過ぎた自己分析に対して現実的なアドバイスや示唆を与えてくれ、こうあってほしいという理想や希望と現実との橋渡しを行い、分析や目標に対して微調整を加えることができる。
これから迎える受験では、自分に都合の良い自己分析だけでは上手くいかないことも多く、そこに他己分析を加えた総合的な学習戦略を練ることが必要である。事実、自分だけで考えて上手くいかなかった受験生が適切なアドバイスを受け、その後の学習方針を転換し短期間で偏差値が5も10も上がる例は存在する。特に苦手科目と得意科目に対する自己バイアスは現れやすいので、俯瞰的にアドバイスをくれる第三者を味方につけておくことは、時間的制約の強いこれからの時期ではさらにその重要度が増す。
自己分析は重要だ。しかし難しい。この点を踏まえて他己分析を上手に取り入れよう。そうすれば今まで上手くいかなかったことも上手くいくようになるかもしれない。