春からすでに3ヶ月が経とうとしている。春から受験本番までは正味10ヶ月程度しかないことを考えると、受験期の約3分の1の時間がすでに経過した計算になる。この事実を知ったとき「あ、やばい」と感じる人はむしろ勉強を真面目にやっている人で、「余裕だな」と感じる人は時間をうまく逆算できていない可能性が高い。
おそらく春から勉強を進めてきた学生の多くは本日時点で学力の飛躍的な向上を感じられず、場合によっては焦りや不安を感じているかもしれない。勉強すればするほど不安や焦りを感じることがあるが、現段階でそのような印象を持っていることはかえって正しいことである。残念ながら勉強とは今日10のことを学んでも明日の試験では1も発揮されないことが往々にしてある。しかしながら今日も明日も明後日も10を学び続けると、あるときそれが100にも500にも1000にもなって面白いくらい試験の点数に反映される瞬間が来る。
受験生なら“プラトー”という言葉を聞いたことがあると思う。いわゆる“勉強の下積み時代”のような期間が成績向上には存在し、このプラトーを抜け出すには教科によっても異なるものの、一般には最短でも3ヶ月は要すると言われている。実感的にも3ヶ月でプラトーを脱せられれば良い方で、半年などかかることもざらにある。
そして残念なことに、多くの場合はこのプラトーを脱するまで勉強を持続できない。この勉強の下積み時代に耐えかねて、あと一歩で抜け出せる手前で勉強を放棄してしまうのである。実にもったいないが、多くの受験生を見ているとこのような不都合な真実が存在している。
卑近な例として野球でもサッカーでもそうだが、練習を始めた初期の段階ではまともにバットにボールが当たることはないし、パスやドリブルも試合で使える代物にはなっていない。しかし3ヶ月くらい練習をしたあたりから、バットにボールが当たる場面が増え、パスやドリブルからシュートまで何となく形になる。はじめは“競技”と言えるレベルに全く達していなかったものが、真面目にコツコツ積み重ねた結果少しずつ競技の体裁を整えていく。
このプラトーの先には、指数関数的に学力が伸びるフェーズがある。プラトーの時期も極めて緩やかな右肩上がりを示しているが、その上がり幅とは桁違いに伸びる(=指数関数的に伸びる)フェーズが必ずあるのだ。そこまでは「自分は何をしているのだろうか」と自問自答し苦しい時期だが、それを乗り越えた先には視界が明るく開ける瞬間が来ることを知ってほしい。特にこの夏までに努力した人は必ず秋冬でプラトーを脱するタイミングがある。それはつまり、今の努力は来春の合格に直結する土台を作っているのだ。