あと1ヶ月で夏が来る。夏は受験の天王山と呼ばれるほど、一年間の中で最重要な時期である。では、その夏を具体的にどのように過ごすべきなのか。今日はその点に注目してみよう。
「夏は武器科目(=得意科目)を確立し、苦手科目を克服すること」が大切である。つまり、他の受験生に差をつけられるような圧倒的な武器科目を作り上げ、一方で苦手科目は最低限足を引っ張らないレベルにまで持ち上げることが来年3月の合否に直結するのだ。特に医学部や難関大の二次試験に関する“真の学力”でその傾向は明らかで、その礎を夏の間に築き上げることが求められている。というのも、共通テストは例え苦手科目であっても秋以降にある種の詰込み学習で7~8割前後までは狙いに行けることもあるが、医学部や難関大レベルの思考の過程を問われる記述式の二次試験では表面的で通り一遍の理解では正解にたどり着けない、もしくは大幅に減点されるような出題のされ方をする。
このような試験において、実際には得意科目と苦手科目を含めた合計点で合否が決定されるわけだが、例えば合格点が200点(各平均点が英語60点、数学60点、化学40点、物理40点、合計200点と仮定する)の場合に自分も平均と全く同じように英語60点、数学60点、化学40点、物理40点、合計200点という点数の取り方は決して多くない。人間である以上は得手不得手が必ず存在するもので、数学は得意だが英語は苦手、物理はそこそこ得意、化学はやや苦手の場合であれば、英語45点、数学75点、化学35点、物理45点、合計200点というように苦手科目を得意科目で多少なりともカバーする点数の取り方になることが多い。
したがって、上記のような現実的なシミュレーションを考えたとき、「極端に苦手な科目をなくして、武器科目で可能な範囲をカバーする」という一つの解が得られる。極端な苦手科目の場合は、武器科目でもカバーしきれない可能性が高くなる。特に医学部や難関大では周囲受験生の各教科の完成度が高くなるので、この傾向はかなり強くなる。さらに上記シミュレーションでは200点ジャストの点数の取り方であったが、“圧倒的”武器科目はその合計点を205点、210点にしてくれる可能性がある。
最後に、「武器科目の確立と苦手科目の克服はどちらを優先すべきですか?」と疑問に思うかもしれないが、これは一概にどちらかが常に優位に立つというものではなく、受験生それぞれの現状の立ち位置や受験校とのバランスを総合的に判断する必要がある。つまり、受験生によっては優先して武器科目を仕上げるべき人もいれば、逆に先に苦手科目を克服すべき人もいる。この学習戦略全体をマネジメントしてくれる存在も受験には欠かせない。