ここ最近の傾向を見ていると、受験英語は一定の点数がとれて当たり前になっている。これは高校受験でも大学受験でもそうであり、さらに医学部や難関大であればますますこの傾向は強くなる。
このような傾向になった原因は、文科省の教育内容改訂の影響が強い。つまり、学校英語教育が話せる・聞ける英語および長文を速読する英語にシフトしようとしていることにある。雑に言えば、英文法や構文などに力はいれないで、ざっくりと会話や長文理解ができれば良いという教育内容へシフトしている。
当然、文科省の指示とあれば、各種高校や大学の受験内容もその方向へ変更せざるを得ないわけであり、とは言え、英会話を試験内容に組み込むことはできないので、最終的に、リスニングの配点比率増加(共通テスト)+易しめの長文を速く読む(共通テスト、二次試験)という形に落ち着いた。
この『易しめの長文を早く読む』というのが、難関高校や医学部・難関大を目指す受験生的には、結果として“英語はボーナスステージ”という現象を作り出している。一定以上の英文法や構文力を持っている彼ら/彼女らの英語レベルでは、実際に出題される英語レベルは分量こそ多いが内容は易しいと感じるのだ。そのため、英語の基礎力が身についている彼ら・彼女らは、必要なスピード感覚を養えば、英語は比較的点数が取りやすい教科という立ち位置になる。
受験に合格するという目線でこの問題を見てみると、英語が得点できないことは、少なくともハイレベルな競争に勝とうとする場合、大きく不利に働いてしまう。他の受験生が高得点であるのに、自分だけ点数が取れないと、万が一そこで10点、20点と点差がついてしまえば、逆転が困難になる可能性が高い。接戦が予想されるハイレベルな競争では、たった一科目でこのような現象になるのは決して珍しいことではない。
受験英語は点数がとれて当たり前の時代に突入した。英語を得点源とするべく、英会話のような英語ではなく、早期から英文法や構文力をきちんと身につけられるような学習方針にしておくことが重要だろう。